「日曜日の初耳学」に、カンヌ国際映画祭・最優秀女優賞という肩書きとともに登場する女性。名前は岡本多緒さんです。
でも、カンヌ受賞の俳優として見るだけだと、この人の半分しか見えません。かつて「TAO」の名で世界のランウェイを歩き、ハリウッド映画のヒロインを演じ、いま本名で日本映画の真ん中に立った人です。
ひとりのモデルの髪型が、ショーの出演者40人全員に広がった——そんな伝説を持つ人でもあります。
初耳学のカンヌ受賞女優は誰?
岡本多緒さんは、2026年7月5日よる10時からのMBS/TBS系「日曜日の初耳学」にVTR出演します。この回で登場するのは、スタジオ全員で現代のカリスマに切り込む人気企画「リモートインタビュアー」。岡本さんとロックバンドのSUPER BEAVERが取り上げられます。
2026年5月、岡本さんは濱口竜介監督の映画「急に具合が悪くなる」で、第79回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門・最優秀女優賞を受賞しました。日本人女優としては史上初の快挙です。番組が「カンヌ受賞女優」と紹介するのは、この受賞があるからです。
ただ、地上波で初めて名前を見た人は「この人、誰?」と引っかかるはずです。答えを一言で言えば、世界のファッションシーンを通り抜けて俳優になった人。そして今回の初耳学は、その通り抜けてきた道のりそのものを掘り下げる回になっています。
岡本多緒さんのプロフィール
| 名前 | 岡本多緒(おかもと たお) |
|---|---|
| モデル名義 | TAO(海外では Tao Okamoto) |
| 生年月日 | 1985年5月22日 |
| 年齢 | 41歳(2026年7月時点) |
| 出身地 | 千葉県市川市 |
| 身長 | 177cm |
| 仕事 | 俳優、モデル、映画監督、脚本 |
| 代表作 | 「ウルヴァリン:SAMURAI」「ウエストワールド」「急に具合が悪くなる」 |
この表で覚えておきたいのは、「TAO」と「岡本多緒」という2つの名前があることです。海外で身体を武器に世界と戦ったモデル時代がTAO、日本を拠点に俳優・監督として物語を作る今が岡本多緒。2023年に活動拠点をLAから日本へ移したとき、名義もTAOから本名に切り替えました。名前が変わった背景に、キャリアの大きな折り返しがあります。
TAOとして世界を歩いた、「髪型が伝説になった」モデル時代
岡本さんは14歳のとき原宿でスカウトされ、東京コレクションでモデルデビュー。高身長がコンプレックスだったのを逆手に取ったのが始まりでした。2006年に単身パリへ渡り、ミラノ、ロンドン、ニューヨークと世界のトップメゾンのショーへ立っていきます。
転機は2009年。長かった黒髪をばっさり切り、前髪をそろえたマッシュルームカットにしました。これがのちに「TAOヘアー」と呼ばれる髪型です。デザイナーのフィリップ・リムがこれを気に入り、自身のショーで出演モデル全員をTAOヘアーにして歩かせるという演出まで行いました。ひとりのモデルの髪型が、ショー全体のビジュアルを決めてしまった。その年、岡本さんは計58ブランドのショーに出演し、これは世界で第5位の出演数でした。
ただ「世界で活躍したモデル」ではありません。自分の顔や身体、髪型そのものが、ファッションの表現を動かしていった人です。「Vogue Nippon」は2009年に、1人のモデルで表紙から誌面のファッションストーリー全部を組むという同誌初の特集を、岡本さんで実現しています。
今回の初耳学では、この華やかな実績の裏側が語られます。アジア人という枠の中で苦しんだ下積み、1日に12本のオーディションを駆け回った日々。16年前に密着したドキュメンタリー「情熱大陸」の映像とともに、当時の苦労が明かされる構成です。ランウェイの伝説だけでなく、そこにたどり着くまでの過酷さもセットで見ると、この人の芯が伝わってきます。
ウルヴァリンから、監督業まで手がける俳優・岡本多緒へ
俳優として名前が広く届いたのは、2013年の映画「ウルヴァリン:SAMURAI」です。ヒュー・ジャックマンさんの相手役・マリコ役に大抜てきされ、いきなりハリウッド大作のヒロインでスクリーンデビューを果たしました。もともとジャックマンさんの大ファンだった岡本さんを、彼自身が「マリコにはTAOがいい」と推したという縁もありました。
その後は海外ドラマ「ハンニバル」「ウエストワールド」「高い城の男」、映画「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」「マンハント」、日本作品では「ラプラスの魔女」「沈黙の艦隊」と、国境をまたいで出演を重ねます。モデルから俳優への転身は、肩書きを変えただけではありません。身体で見せる仕事から、言葉と物語の中で生きる仕事へ、表現の軸そのものを移していきました。
さらに岡本さんは、演じるだけの人でもありません。2023年に拠点を日本へ移すと、自ら企画・監督・脚本・出演を手がけた短編「サン・アンド・ムーン」が東京国際映画祭のテイクワン賞ファイナリストに選出。監督3作目の短編は札幌国際短編映画祭で最優秀子役賞を受け、気候危機や社会問題を扱うポッドキャストのホストも務めています。表現する側だけでなく、作る側にも回った人です。
カンヌ受賞作「急に具合が悪くなる」で見せた俳優としての深み
そして現在の到達点が、濱口竜介監督「急に具合が悪くなる」です。哲学者と医学人類学者の往復書簡を原作にした作品で、岡本さんはがん闘病中の舞台演出家・森崎真理を演じ、フランスのヴィルジニー・エフィラさんとW主演を務めました。3時間16分、ほぼ2人の会話だけで進む静かな映画です。
この作品で、岡本さんとエフィラさんはカンヌ最優秀女優賞を共同受賞しました。海外メディアからは「深く心を揺さぶる傑作」「2人の演技が見事だ」と絶賛が続出。受賞スピーチで岡本さんは「私のような平凡な日本人俳優がここに立てているのは、素晴らしい監督のおかげ。夢のまた夢のようです」と語りました。
役作りの裏側には、こんな一面も。がん患者を演じるため濱口監督から減量を求められた岡本さんは、公開舞台挨拶で「監督は横でおいしそうなものを食べてるから、”はぁ~”と思いながらやってました」と、監督いじりを交えて撮影の日々を明かしています。世界的な受賞作の現場を、こんなふうにユーモアで語れる人でもあります。
身体を見せる仕事から始まった人が、身体を絞ることまで含めて役を生き、最高峰の賞にたどり着いた。TAO時代の身体表現と、俳優としての現在が、この作品でひとつになったと言えます。
初耳学で見るならここ
今回の「日曜日の初耳学」は、岡本さんを受賞者としてではなく、40年以上の人生を語る人として見ると面白くなります。見どころを3つに絞ります。
①TAOヘアーの伝説と、その裏の下積み。出演者40人全員が同じ髪型で歩いた華やかな話と、アジア人の枠で苦しみ1日12本のオーディションを回った過去。この落差に注目です。
②冨永愛さんとの”バトンの絆”。世界で戦った日本人モデルの先輩・冨永愛さんとの関係を、岡本さんがテレビで初めて明かします。世代を超えて受け継がれたものが語られる場面が見どころです。
③言葉の選び方に出るキャリアの層。岡本さんは前に出て場を沸かすタイプではなく、言葉の間に背景がにじむ人です。妹さんからのサプライズアンケートに涙ぐむ一幕もあり、素の表情が見られます。
カンヌ女優という入口から入った人も、番組を見終わる頃には、TAOとして世界を歩いた時間ごと、この人を記憶に残すことになるはずです。
年齢・TAO名義・インスタなど気になるところ
岡本多緒さんは1985年5月22日生まれ、千葉県市川市出身で、2026年7月時点では41歳です。身長は177cm。名前の「多緒」は、道教(タオイズム)に由来すると語られています。
名義は、海外のモデルシーンでは「TAO」または「Tao Okamoto」、日本での近年の活動では本名の「岡本多緒」。検索するときは、どちらの名前でも関連情報にたどり着けます。改名後に地上波ドラマへ出演した際も、世界のトップモデルの転身として話題になりました。
Instagramは、海外のモデルプロフィールからもたどれます。私生活を追うより、映画・モデル・監督業や、気候危機をテーマにした発信を見るほうが、今回の番組で語られる岡本さんの姿に近い印象を受けます。
FAQ
- Q. 初耳学に出るカンヌ受賞の女優は誰ですか?
- A. 岡本多緒さんです。映画「急に具合が悪くなる」でカンヌ国際映画祭・最優秀女優賞を日本人女優として初めて受賞しました。
- Q. TAOと岡本多緒は同じ人ですか?
- A. 同じ人です。モデル時代は「TAO」名義で世界的に活躍し、2023年に拠点を日本へ移してから本名の「岡本多緒」で活動しています。
- Q. 何に出ていた人ですか?
- A. 映画「ウルヴァリン:SAMURAI」のヒロイン・マリコ役、海外ドラマ「ウエストワールド」、映画「沈黙の艦隊」などです。モデルとしては世界のトップメゾンのショーに立っていました。
- Q. 岡本多緒さんの年齢と出身は?
- A. 1985年5月22日生まれ、千葉県市川市出身。2026年7月時点で41歳です。
まとめ
「日曜日の初耳学」でカンヌ受賞女優として登場する岡本多緒さんは、突然現れた受賞者ではありません。14歳でモデルを始め、TAOの名で世界のランウェイを歩き、その髪型が伝説になり、ハリウッドでヒロインを演じ、監督業にも踏み出したうえで、濱口竜介作品でカンヌ最優秀女優賞にたどり着いた人です。
番組では、TAOヘアーの伝説とその裏の下積み、冨永愛さんとのバトン、そして素の表情に注目したいところです。「あのカンヌ女優は誰?」という入口から見始めても、40年以上かけて世界とわたり合ってきた岡本多緒さんの厚みが、トークの端々から伝わってくるはずです。

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